あっちもこっちも、かまいたい

アフリカセンター担当:廣澤

 

マンドリルのイラーリ、

ひとりで歩きだしたころは、子鹿のようなおぼつかない足取りでピョコピョコと跳びはねるように移動していましたが、最近は足取りがしっかりとしてきて、軽やかに走るようになってきました。

イラーリは群れのなかまと昼夜一緒にすごしています。
メスのマンドリルたちは、イラーリにかまいたくてしょうがないようす。
生まれたばかりのころは、母親のデイがしっかりとアカンボウを抱いていて、他の個体に触らせようとしませんでした。しかしそれも少しずつ緩和されてきました。
そして先日、なかなか接触がみられなかったサヤコさんも、母親から離れて遊んでいるイラーリをのぞきこむように姿勢を低くして触れていました。
これで、メスたちはみんなイラーリに触ることを母親のデイに許されていることがわかりました。

 

デコ、サヤコ、ディディ、デラ、サユミ、ディスコ。かまい方も、それぞれ違います。

先日ご紹介したように、デラはイラーリを抱きたくて抱きたくてしかたがなく、母親が抱いているイラーリを「貸して」とでもいっているかのように抱こうとしていました。もちろんデイはそれを許しませんでしたが、イラーリがひとりで行動するようになると、デラはデイの目を盗んでは、イラーリを抱えてそそくさと連れていくことが増えました。初めのうちは、デイもすぐに奪い返していましたが、だんだんとそれもなくなりました。

 

デイの母親であるデコさんは、いつもデイの傍にいて、イラーリをみまもっているようでした。そのかいあってか、イラーリからデコさんに触れたリする機会が多く、自分で動き出すようになると、デコの背中を台にして高いところへジャンプ!というように、すっかりイラーリもデコさんのことを信頼しているようです。また、デコさんは、デラとは違い、イラーリを抱いたりはせず、ただ傍にいる、やさしく見守る、というスタンス。そうしたようすも、デイやイラーリに安心感をあたえているように思います。

 

そして、イラーリより2才年長のサユミとディスコは、はじめのころはデイを毛づくろいする姿をよく見ました。アカンボウのことが気になるけど、触ったらデイに怒られる、だったらデイを毛づくろいしているふりをして、ちょっとアカンボウにも触ってみよう!とか考えていたのでしょうか。彼女たちも、デラに続いて、イラーリを抱えて移動するようになりました。サユミたち自身がまだ小さいので、両腕でイラーリを抱っこして、背伸びをしながら2足歩行で(イラーリを引きずらないように)数メートル移動する、そんな具合です。イラーリも強引な抱っこに体をよじって降りようとするので、そんなに長くは続きません。

 

そして、2年前初めての出産を経験しディスコを立派に育てたディディも、やはりイラーリに興味があるようす。デコや、デラ、サユミ、ディスコは早い時期からイラーリに関わろうとしている姿が観察されていましたが、ディディも2か月ほどたつとイラーリを抱くようになりました。でも、デラ、サユミ、ディスコたちとは違って、抱き方がとっても優しい。無理に連れ去ろうとはせず、ちょっとこちらへいらっしゃいという感じに自分のお腹に抱える程度です。やはり、育児を経験したメスは違うな、と思います。ちなみに、ディディのお腹はとってもポチャポチャなので、ふかふかのベッドみたいで気持ちよさそうです。

ディディとイラーリ

 

こんな感じで、アカンボウとの関わり方も7者7様です。
オスたちからイラーリに接触するところは、未だ観察していません。
デコさんの娘のデイが産んだアカンボウです。下手に近づいて、デコさんに誤解されて怒られてはたまりませんからね。