北園担当:田中
生きとし生けるもの、必ず死は訪れますが、
やはりコドモが生まれ、成長する姿には感動を覚えます。
私が北園担当になり、直後に生まれたハーゲンも、3ヵ月!
北園担当&元バックヤード担当:田中
今日は動物慰霊祭がありました。
この1年、今までに増して辛い瞬間が多かったと思います。
バックヤード担当のときは、群れでは生活することができないハンデを抱えた個体や、病気やケガで入院する個体の担当をすることが多く、
何度も神様が連れて行く瞬間に立会いました。
終末のケアをすることもありましたが、比べようがないほどたくさんの時間を過ごしている担当者よりも悲しんではいけない、と涙をこらえていた自分がいました。
死に直面するたびに、次に生かそう、と前向きに考えても、また、違う死がやってきて、
毎回毎回悲しさ、無力さを感じます。
少しでも動物たちの気持ちをくみ取れるように、
少しでも痛みを共感できるように、
少しでも苦しさを和らげられるように、
努力していきたい。
亡くなってしまったみんなが残してくれたことを記憶に残したい。
毎年この日は記憶の整理整頓をして、天国で楽しく過ごしていることを祈るばかりです。
ありがとう。
アジア館・南米館担当:武田
今日は出勤日ではありませんでしたが動物慰霊祭があったので参加してきました。
そして慰霊祭が終わって時間があったので、今年7月17日に誕生したボリビアリスザルのハーゲン♂に会いにリスザルの島へ行ってきました。
ハーゲンに会いに行くのは3回目でしたが、会うたびに成長していてそのスピードに改めて驚きました。
今日でちょうど生後3か月だったようです。
ということで振り返ってみました。
まず1回目は生後約1週間の頃。
2019/7/25撮影
目を開けていない時間が多く、授乳の時だけお腹側に移動をしていました。
大人とは違って頭が黒くないことが自分の中ではとても印象的でした。
そして、2回目は生後1か月半頃。
2019/9/5撮影
この頃には、大人から離れて遊んだりしている様子が見られるようになっていたらしいのですが、自分が見たタイミングではずっとおんぶされたままでした。
体も大きくなっているし、目もしっかりと開いています。
そして、生後3か月。
2019/10/17撮影
大人から少し離れて遊ぶ時間も増えたようです。
2019/10/17撮影
子育てする側にとっては大変だと思いますが、客観的に見ると一番かわいい時期ではないでしょうか。
2019/10/17撮影
頭の色もまだ白っぽいままなので、いつから黒くなっていくのかがとても楽しみです。
2019/10/17撮影
もちろんタイミングによってはまだまだ背中に乗っていることもあります。
まだ小さいですが大きくなったなあ。
ぜひ今のハーゲンに会いに行ってみてください!
近日、高齢個体の悲しいニュースが続き、飼育員として獣医師として様々なことを学ばせていただきました。
別れがあれば新しい出会いもあります。
まだまだ未熟ではありますが学んだことを今後にしっかり生かしていこうと思います。
元バックヤード、現マダガスカル担当:阿野
私がモンキーセンター入社後配属されたのがバックヤードでした。
非公開施設であるバックヤードにトヨミちゃんはいました。
“ちゃん”付けをしていますが、年齢もモンキー歴も大先輩のトヨミちゃん。
しかし、”ちゃん”を付けたくなるようなチャーミングな性格の女の子でした。
ご飯のときは窓辺に座り外を眺めながら食べる。優雅なお食事タイムを楽しんでいましたね。
優雅にお食事をする姿からは想像ができないほど無邪気な一面も持っていたトヨミちゃん。新しいおもちゃにも驚かず、すぐに遊んでくれていました。ペットボトルや麻袋は仰向けの状態で足で挟んで持ち上げるような遊びも見せてくれました。お気に入りでしたね。
おもちゃを持ってきていないときでも、私の鍵や髪の毛をイジってきましたね、鍵や髪がベタベタになるけど、あなたの好奇心に満ち溢れたキラキラした瞳を見ると止められませんでした。
スマートな体型とは言えないトヨミちゃん。
お腹がぽっこりしていて、ガスが溜まっていないか確かめるため、お腹をさすってあげることがありました。嫌な顔をせず付き合ってくれていました。むしろ、さすっている私の手を毛繕いしてくれましたね。とても嬉しかったのを覚えています。そんなあなたのお腹をもう一度さすってあげたかった。
よく私に話しかけてくれていたトヨミちゃん。「アィー」という時はテンション高め。「アァーー」というときはだいぶテンション高め。無言のときは驚くほどテンション低め。感情の表現が豊かでした。
今年の夏、別施設で暮らしているドントおじいちゃんとの同居に向け、いろいろなトレーニングに付き合ってくれていました。トヨミちゃんはとても応用力があり、スムーズにトレーニングが進みました。
別施設へ移動するため、健康診断を兼ねて麻酔下での検査をしました。検査後は私のことを少し嫌いになっていましたね。初めて「ハァー」と息を飛ばしてくるように吐き、圧をかけるように睨みつけてきました。心が痛かったです。そうですよね、私の技術の低さで麻酔注射本番で嫌な思いをしたのですから。
私の勝手な「また仲良くなりたい」という気持ちに向き合ってくれたトヨミちゃん。「アィー」とまた話しかけてくれました。ほんとに嬉しかった。
ドントとのお見合いを頑張っている日が続いていましたが、少しずつトヨミちゃんらしい体型ではなくなっていきました。
10月4日に再度麻酔下検査をおこないました。
血液検査、エコー検査、レントゲン撮影など、おこなっていただきました。このときは貧血と脱水以外見られずということで、入院となりました。新バックヤード担当にはトヨミちゃんの癒しであってもらいたいと思い、嫌な思いをする麻酔導入を私が立ち合い、検査後の麻酔覚醒時に新バックヤード担当の方にお願いしました。
覚醒後のお見合いに短時間だけでもと顔を出していましたが、軽い威嚇をされます。
そこから、トヨミちゃんのために会う頻度を少しだけ下げました。
トヨミちゃんは入院となり、輸液と注射の治療を受けいました。よく頑張ってくれました。
さらに精密な血液の検査をおこなっていただき、骨髄の病気ではないかと診断が出ました。検査後は少しだけ食欲と活力が戻ってきました。しかし検査後から2日たち、様態は急変。懸命な処置をしていただきましたが、10月13日に他界しました。台風の日です。
私が見たトヨミちゃんの最後の姿は私への軽い威嚇でした。元気になったトヨミちゃんとまた仲良くなって、「アィー」と話しかけてもらい、新しいおもちゃ、私の鍵や髪をイジってもらうつもりでした。しかし、それは叶いません。せめて、トヨミちゃんの状態をくみ取って威嚇させなければよかったと後悔が残るだけです。威嚇するのがどれほど身体に負担をかけていたか。
ごめんねトヨミちゃん。
トヨミちゃん、最後にもう一度だけ阿野の言葉を聞いてくれるのならコレだけは言わせてください。
たくさん遊んでくれてありがとう。
たくさん教えてくれてありがとう。
またいつか、どこかで会えたら「アィー」と話しかけてください。