飼育の部屋

「ハヌマンラングールのサミー来園
〜到着から現在の様子まで〜

★☆★コメント★☆★

アフリカ館・アジア館 担当 廣川より 


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24日(金)に山口県宇部市のときわ動物園からハヌマンラングールのオスがJMCに来園しました。名前をサミーといいます。

ときわ動物園には、メスが3頭います。
その子達との関係が親兄弟であるため、
血統管理の関係から、サミーは1頭で暮らしていました。


また、JMCのハヌマンラングールは、去年の10月に弟のマドラが
死亡し、アジア館にメスのラムセスも1頭で暮らしていました。


朝一番に山口県宇部市の宇部空港から、東京都の羽田空港を
飛行機で移動し、その後サミーは車で
JMCに向かいました。
15
時ごろに到着。約8時間の長旅でした。



「サミーを乗せた車がバックヤードに到着」



「お見合い用のケージに移動した後のサミー」

到着後、すぐにアジア館へ連れてはいかず、寄生虫がいるかどうか、
食欲動きに問題は無いかなどの簡単な検査や健康チェックを行います。
そのため、バックヤードで数日過ごしました。

その後、アジア館の屋内部屋(非公開)へ移動し、
ラムセスとのお見合いを開始しました。
数日後には、ケージの上にラムセスが座るなど
サミーを気にする様子が観察されました。


サミーは過去に後肢を骨折した治療歴があります。
しかし、ハヌマンラングールはよく飛び跳ねる種のため、
脚の負担を軽減することと、休憩場所を増やすことを目的として、
合流前に寝室と放飼場の止まり木を増やしました。


止まり木を増やすときに、気を付けたことは次の3つです。

・渡りやすいようになるべく太い木を使う

・足を挟まないように隙間を埋め、ボルトで木同士を固定する
・飛びまわらないように、上り下りができる道になる木を入れる


ボルトで固定するために刃の長さが40センチくらいあるドリルの刃を
使います。使っている木によってはものすごく固かったり、
開ける場所が難しかったり簡単には開きません。休憩台は、
2人がかりで10か所以上の穴をあけてボルトで留めました。
また、目線を遮れるように、竹の上の部分を入れてあります。


 

「工事中の写真。休憩台をとりつけているところです」





 「止まり木を増設したハヌマンラングールの屋内施設と野外展示施設」

月7日(木)にラムセスと合流しました。
当初、心配していた後肢をかばう様子も無く、最初は見慣れない
世界で、聞きなれない別のサルの声も聞こえるので、
とても驚いていた様子でしたが、数時間でその環境にも慣れてきて、
寝室への出入りもスムーズでした。
ラムセスの方も、サミーを怖がって寝室へ入らないことを心配して
いましたが、サミーの入ったあとすぐに寝室に入ってくれました。

 

「外に出てすぐの写真。
周りに驚きながらも手渡しの餌をとりに来ます」


今の2頭の関係は、メスのラムセスがサミーをきちんと立てており、
よい関係を築いています。私たちが小窓から覗いていると、
その気配に気づいて隣一緒に並んで座っていたのに、
人目を気にして離れてしまいます。


ときわ動物園では、バックヤードで1頭暮らしだったサミーと、
去年の
10月から1頭で暮らしてきたJMCのラムセス。
今は放飼場では離れて座ってしまいますが、
これから一緒に暮らす中で、お客様から「仲がいいサルですね」と
言ってもらえるくらいのペアになってもらいたいと願います。


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