5.ティンガティンガ派の絵画

  
 1960年代、ダルエスサラームにてエドワード・サイディ・ティンガティンガ(Edward Said Tingatinga, 1932-1972)が描き始めたことから、彼の名が付けられたのが“ティンガティンガ派絵画” と呼ばれるものです。ティンガティンガはタンザニア南部に住むマクア人です。ティンガティンガはもともと安く手に入る建築用の正方形のボードにエナメルペンキで描いていました。彼の死後も、6人の弟子を中心に技法が受け継がれてきました。ダルエスサラームにはティンガティンガ派の画家が集まった工房、ティンガティンガ村があります。現在もここで多くの作家が色鮮やかに自然や人の暮らしを描いた作品を制作し、販売しています。





アモンデ(Omari Amonde,1940-2015)はタンザニア南部に生まれました。ティンガティンガ絵画の創始者であるエドワード ・サイディ・ティンガティンガのいとこで、1972年、ティンガティンガの逝去直前に弟子入りした「最後の直弟子」です。ダルエスサラーム郊外で画家が集った「ティンガティンガ村」の中心的な存在でした。師のティンガティンガの手法に由来する、一頭の動物を中心に大きく描く手法が特徴的です。

いずれもオマリ・アモンデ
エナメル/キャンバス

上段左 26×40 cm
上段右 28×35 cm
下段 26×25 cm

チャリンダ(Mohamed Charinda,1947-)はティンガティンガ派の長老で、ティンガティンガと同じ村の出身です。落ち着いた色彩で動物や自身の夢に現れるシェタニを描いています。またメッセージ性の強い生活画でも知られ、故郷の村の出来事を多く描いています。彼の絵を挿絵として使ったタンザニアの民話集が日本で発刊されています。
 モハメッド・チャリンダ

 エナメル/キャンバス
 39×30 cm
 モハメッド・チャリンダ

 エナメル/ボード
 31×31 cm
 

アウシ(Jaffary Aussi,1960-2008)はダルエスサラーム出身で、父はティンガティンガのいとこ、オマリ・アモンデは叔父にあたります。動物、特に鳥を描いた作品がよく知られています。背景にとりわけ多くの色を使ったグラデーションが見られます。1987年には東京で個展を開催しました。
 ジャファリ―・アウシ

 エナメル/ボード
 40×50 cm
 




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