マレーシア・サバ州ダナンバレー保護区における ボルネオオランウータン調査 山崎 彩夏 東京農工大学・連合農学研究科 日本学術振興会 オランウータンは東南アジアに生息する唯一の大型類人猿である。また熱帯雨林の生態系の中では、現存する最大の樹上性動物であり、生態系を支えるキーストーン種であるとされる。しかし、近年、大規模プランテーションの拡大や商業伐採によって、その生息域は急速に分断化および消失しつつあり、オランウータンの生息数は、ボルネオオランウータン54000個体、スマトラオランウータン6500個体と減少の一途を辿っている。そのために、効果的な保全の基盤となるような基礎研究と応用研究の双方が求められている。本講演では、ボルネオオランウータンを対象としてマレーシア国サバ州北東部のダナムバレー森林保護区内でおこなっているフィールド研究の様子について紹介する。同保護区は、マレーシア国領内のオランウータンの調査地としては、唯一の原生林であり、その他の二次林や植林地との調査データの比較は、今後のオランウータンの保全に有用な知見をもたらすと考えられる。それとともに、リハビリテーション事業なども含めたオランウータンの保全をとりまく諸状況についても報告したい。 |