アジアの化石類人猿: ギガントピテクス化石調査の進展

 

河野 礼子

 

国立科学博物館

 

中国南部およびベトナムから発見されているギガントピテクスは、現生ゴリラよりも大型であった可能性があり、史上最大の霊長類といえる。生息年代は約120万年前から30万年前ごろまで続き、ヒト祖先と共存した可能性もしばしば指摘されてきた。アジアのヒトと類人猿の進化を考える上でも、ギガントピテクスの生態や系統的位置づけを解明する意義は大きい。中国のギガントピテクス化石は、1950年代に柳城で下顎骨3点と1000点以上の遊離歯が発掘されて以来あまり増えていなかったが、2000年以降、中国の研究者たちによって新たなギガントピテクス化石出土地点の探索と発掘が進められ、新しい資料が追加されてきている。ほとんどがやはり遊離歯のようではあるが、資料数や出土地点が増えることで、ギガントピテクスの進化の様相が新たに解明されるかもしれない。最近のギガントピテクス研究の状況を、発掘の現場の様子もまじえて紹介する。

 

 


世話人:市川光雄・清水大輔・大橋岳(日本モンキーセンター)




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